2017.05.25

『変身忍者嵐』 第15話「血どくろ舟! ザリガニ鬼!!」

 平家の落人村に現れ、水神への生贄に子供を求める修験者に化けた化身忍者ザリガニ鬼。連れ去られる子供を目撃したハヤテはザリガニ鬼と戦うが、水目つぶしによって失明してしまう。なおも生贄を求める修験者に対し生贄に化けて連れ去られるツムジ。ハヤテはツムジたちを救い出すことができるのか?

 冒頭で平家の落人村の財宝を狙うという今回の悪事を説明してくれる魔神斎と骸骨丸。その命を受けて修験者に化けたザリガニ鬼は、村の人々の前で川の中に入り、何やら唱えながら倒れると、いきなりバラバラになったと思えば、次の瞬間に遠くに出現するという意味不明のパフォーマンスで村人の度肝を抜きます。その修験者が求めるのは、水神に備えるという生贄の子供。これまでも何人も生贄に出してすでに子供がいないという村人に対し、平家館の主の子供・つね丸がいるではないかと言い放つと、気丈にもつね丸は自ら生贄になると名乗り出るのでした。

 そして彼が血どくろ舟(という名の船首にどくろがつけられた藁舟)に乗せられてザリガニ鬼に引っ張っていかれるのを偶然目撃したのは、もちろんハヤテ一行。早速つね丸を救い出したハヤテはザリガニ鬼と対決。大回転かかと落としかと思いきや尻尾でぶん殴る血車殺法尻尾打ちを食らったりながらも、生身で格闘を挑みますが、ハサミで捕らえられたところにザリガニ鬼が口から吹き出す血車忍法水めつぶしが直撃! ハヤテが思わずちきしょうと口走るほどのめつぶし、ザリガニ鬼が言うには目玉が溶け、頭蓋骨が腐って脳が飛び出すという恐ろしいものであります。
 変身した嵐を捨て置いて子供を奪い取ったザリガニ鬼ですが、血どくろ舟でのんびり去ろうとしていたところに嵐見参。目が見えなくとも匂いで行方がわかるのだ! という嵐(伏線)にあっさり血どくろ舟から蹴り落とされ、子供を奪還されるのでした。

 さて、さすがに目玉が溶けたり頭蓋骨は腐ったりしないものの、やはり回復しないハヤテの目。一方修験者は平家館に現れ、人身御供を出すか、宝を差し出すかと本音で迫ります。さらに生贄に奪われた子・カミナリ(変な名前……)を見せておいた、再会を喜ぶ父親の前で泡にまみれて消すパフォーマンスで村人たちを煽り、さらにハヤテたちまで排除してしまおうとする修験者。
 さすがにその言葉にすぐ乗ったりはしない長ですが、つね丸はまたも覚悟を決めて自分の身を差し出そうとするのですが……ここで思い切りみぞおちを突いて、入れ替わるツムジ。身代わりになろうという息子を敢えて行かせ、タツマキは自ら(白影以来のセクシー水着で)後を追います。

 そんな中、生贄の到着を待つ修験者ですが――その前に現れたのはハヤテ。またもや匂いと音で察知したというハヤテですが、さすがにおかしいと気づいた修験者の前で、カッと目を見開くハヤテ! そう、目が見えなくなったのは偽り、最初からハヤテは目つぶしをくらっていなかったのであります。なるほど、だから頭蓋骨が腐らなかったのか!
 これに対し、「化身!」の声とともにザリガニ鬼の正体を現した修験者と対決する嵐。その一方で、ツムジとタツマキは血車党の本拠となっていた竜頭鷁首っぽい船に乗り込み、捕らえられていた子どもたちを救い出します。

 そして最後の対決を繰り広げる嵐とザリガニ鬼。奥の手だという毒あぶく(水めつぶしとどう違うのか不明)をものともせず、前回登場したばかりの嵐旋風斬りで粉砕、船もろともザリガニ鬼は大爆発! そしてラストは上座に据えられてご満悦のツムジで終わるのでした。


 血車党が悪事を働いているところにハヤテたちが通りかかって……という、毎度といえば毎度のパターンで始まった今回。しかし顔を除けばかなり格好良い造形のザリガニ鬼の意外なまでの強豪ぶり、そして何よりも味方まで欺いてみせたハヤテの名演技が生んだ大逆転もあり、なかなか起伏に富んだ攻防戦を楽しむことができたエピソードであります。


今回の化身忍者
ザリガニ鬼

 全身が硬い甲羅で覆われ、左手に強力なハサミを持つザリガニの化身忍者。相手の目をつぶす血車忍法水めつぶしをはじめ、毒あぶく、血車殺法尻尾打ちなどを使う。平家の落人村の財宝を奪うため、修験者に化けて子どもたちを生贄としてさらったが、嵐の旋風斬りに敗れる。


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2017.05.19

『変身忍者嵐』 第12話「地獄の怪人! ゲジゲジ魔!!」

 燃える水を採掘するため、村人を強制的に働かせる血車党。そこから逃げた作左を追うゲジゲジ魔の前に立ち塞がるハヤテたちだが、タツマキとカスミ、作左の子が捕らえられてしまう。さらにドクロ館に潜入しようとしたツムジも捕らえられるも、後を追って嵐が駆けつけ、ゲジゲジ魔を倒すのだった。

 今回も労働力として村人をこき使い、今回も逃げられて追いかけ、今回もハヤテ一行に見つかる血車党。燃える水採掘という血車党の目的は冒頭で語られるのみで、後はひたすらハヤテたちと血車党の攻防戦が描かれるという思い切りのいい構成です。
 その今回の中心となるのはゲジゲジ魔……ゲジゲジという怪人広しといっても珍しいモチーフに、カートゥーンのキャラのような良く言えば愛嬌のあるデザイン、そしてフニャフニャした造形と三拍子揃った化身忍者であります(しかしこのモチーフに改造された忍者、本当にかわいそう)。

 しかし意外と芸コマなゲジゲジ魔、脱走した村人・作左が逃げるところを地を這って走る忍法ゲジゲジ走り(たぶんお腹の下に台車を置いている)で追いかけ、小さなゲジゲジに化けて近づくとガバッと襲いかかるのですが……そこに通りかかったハヤテにチョン蹴りをくらって戦闘開始。
 と思いきや、いきなり刀で自分自身に斬りつけ、体をバラバラに! ドン引きするハヤテたちですが、これはバラバラにされても死なないという下等動物の生命力を活かしての六ツ身分身の術。といっても六体分のゲジゲジ魔が登場するわけでなく、映像処理で流している上に、実際には五体は幻に過ぎず、本物はカスミの鏡の反射を眩しがったためにばれてしまうのでした(あれ、だとしたら自分をバラバラにする必要は……)。

 そしてタツマキ・カスミ・ツムジも加わっての大乱戦となりますが、作左を連れて逃げたツムジもすぐに追い詰められて助けを求め、タツマキとカスミは速攻で敵に捕まる始末。血車党は人質を手に入れて退却していったものの、血車党の魔手は作左の家族に向かい、(妙に綺麗な家に住んでいる)妻と子供の与吉に魔の手が迫ります。
 またもゲジゲジに化けて、病に伏した作左の妻のところに現れ、まずはボサッと突っ立っていた与吉を下忍に運び出させるゲジゲジ魔。そして残る奥さんに迫る魔の手……というところで「表に出て正々堂々と戦え!」とハヤテが微妙な発言をしながら駆けつけて事なきを得ますが、与吉はそのまま連れ去られてしまうのでした。
(ここで体をピンと伸ばして水面を引っ張られていく忍法水渡りで逃げ出すゲジゲジ魔の姿がやっぱりおかしい)

 嘆き悲しむ作左は、ドクロ館に向かおうとしますが、これまでドクロ館に向かう際は目隠しをされていて道がわからない。それならばと目隠しをして道を探ろうとする(えっ)彼の前に、近所の女の子・やよが通りかかります。ドクロ館に向かうというやよと一緒に、女の子に化けて潜入しようとするツムジですが、彼女が谷から落ちかけたところで声を上げたことで、あっさり捕らえられてしまうのでした。
 しかしツムジが目印を撒いていたことでドクロ館へ向かうハヤテ。途中鉄砲で撃たれたりしてツムジを見失いながらも何とか切り抜け、ドクロ館で合流して脱出した忍者一家の笛の合図を受けると、ドクロ館に向かいます。そして火攻めにあっていたタツマキたちを助けたハヤテはドクロ館に突入、思い切りよく爆破! 

 残るゲジゲジ魔も、体から油を吹き出して周囲に火をつけるという奥の手の忍法火炎地獄を、大きな布をかぶせるという嵐の忍法火消し布で破られ、刺股を振り回すも敢えなく影うつしに粉砕されるのでした。


 冒頭に述べたとおり、本当にシンプルな内容だった今回。その分テンポが非常にいい(というかよすぎる)のですが、見終わって頭に残るのは、ゲジゲジ魔の顔のインパクト――。そしてツムジの他にも二人出てくる子役の演技の……ぶりも別の意味で印象に残ります。


今回の化身忍者
ゲジゲジ魔

 燃える水の採掘現場を監督するゲジゲジの化身忍者。ゲジゲジに変身する、地を這って高速移動するゲジゲジ走り、自分の体を切り裂いて分身する六ツ身分身のほか、体から油を吹き出して火を付ける火炎地獄など、多彩な技を持つ。が、刺股を手にしての直接対決ではハヤテに及ばず、秘剣影うつしに敗れる。


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2017.05.13

斉藤洋『くのいち小桜忍法帖 4 春待つ夜の雪舞台』 理不尽との対峙 自分の世界との対峙の先に

 時は元禄、外様大名の探索を任とする公儀隠密・橘北家総帥の娘・小桜を主人公としたシリーズの完結巻であります。江戸の町に出没する能面の辻斬りと対峙することとなった小桜は、もう一つ、江戸を騒がす大事件を目の当たりにすることに――

 ある事件を通じ、公儀隠密の陰の部分を目の当たりにしながらも、橘北家の娘として、そして表の顔である薬種問屋の娘/丁稚として変わらぬ日々を過ごす小桜。その頃江戸では辻斬りが流行していたのですが、その辻斬りに、彼女自身が出くわすことになります。

 馴染みの呉服屋に顔を出して遅くなり、店から駕籠で送られる途中、突如駕籠かきや番頭に襲いかかった謎の男。能面の小面をかぶったその男は、小桜が放った手裏剣代わりのかんざしもものとはしない、恐ろしい腕前を見せつけます。
 もちろんその場は逃れた小桜ですが、しかしこのような悪行が自分の周囲にまで及んだとあらば、黙ってはいられません。

 人の言葉を喋る(ように思われる)西洋犬・半守の活躍で辻斬りの正体を突き止めたものの、しかしそれは法では裁けない(もみ消される)身分の相手。しかしそれでもこれ以上の犠牲を防ぐため、小桜は一人辻斬りに挑むのですが――


 と、これまで同様、江戸を騒がす事件に挑む小桜の姿が描かれるのですが、しかし本作で描かれるのはそれだけではありません。それと平行して、それよりも遙かに大きな事件が描かれるのであります。
 本作の舞台となるのは元禄15年……と言えばおわかりでしょう。その大事件とは、赤穂浪士の討ち入り。浅野家の遺臣が、吉良上野介邸に討ち入った、あの忠臣蔵の題材となった事件であります。

 実はこの事件、というより浅野内匠頭の刃傷には、浅からぬ……というより大きな関わりを持つ橘北家。それこそが小桜の抱える屈託の原因なのですが、その結果とも結末とも言うべきものを小桜は目撃することになるのです。それもいささか奇妙な形で。

 こうして本作で描かれる二つの事件は、一見全く関係のないものに思われます。しかしよく見てみれば、抵抗のできぬ相手に刃を振るう武士という構図――方や無辜の民を斬る辻斬り、方や老人一人を多勢で襲う浪士たちという違いはあれど――は共通するものがあると言えるようにも感じられます。
 そしてさらに言えば、前者は為政者によって守られ、後者はむしろその為政者によって仕組まれたもの。この両者は、いわば為政者によってねじ曲げられ、犠牲が生じた事件であるとも言えるのではないでしょうか。

 その理不尽に挑み、打ち砕くのが通常の時代劇であるかもしれません。事実、前者に対しては既に触れたように、小桜は敢然とこれに挑もうとするのですが……しかし、あくまでも小桜はその為政者側の人間である(特に後者に至ってはその実行者ですらある)という点で、事態は簡単ではありません。

 自らが法を、為政者の則を守るべき立場において、何ができるか。何をなすべきか。言い換えれば、自らが帰属する世界の中で、その世界そのものに対峙することができるか……これはむしろ、我々大人にとっての問題であります。。
 そして逆に言えば、その問題に直面することとなった小桜は、大人の世界に足を踏み入れたと、そう言えるのかもしれません。

 物語の筋だけを追えば、比較的あっさりと進み、終わってしまう作品ではあります。また、小桜の決意が、一種デウス・エクス・マキナ的な介入によって終わってしまうのは、いささか拍子抜けではあります。

 しかし本作の背後に、このような構図があるとすれば……それは少女一人の力で簡単に乗り越えられるものではないでしょう(それはもちろん、それを無条件に受け入れることとイコールでは決してありませんが)。
 それも含めて、本作は少女の成長を描いてきた本シリーズの一つの締めくくりとして、相応しいものではないか……そう感じるのは、いささか牽強付会が過ぎるでしょうか。


 ちなみにそのデウス・エクス・マキナは、本作においてその驚くべき正体を明らかにすることになります。
 簡単に言ってしまえば、作者の他のシリーズとのクロスオーバー……というより本作自体が、他の作品の裏面に当たる構成なのですが、こうした作品でこの趣向は、なかなか珍しいもののように感じられます。

 もちろん作者のファン、両シリーズのファンとしては大歓迎のサービスではあります。
(しかし、そのもう一作品を読み返してみたら、そのキャラの正体が既にはっきり描かれていたのは不覚――)


『くのいち小桜忍法帖 4 春待つ夜の雪舞台』(斉藤洋 あすなろ書房) Amazon
4春待つ夜の雪舞台 (くのいち小桜忍法帖)


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2017.05.08

『風雲ライオン丸』 第15話「脱獄囚を追跡しろ!」

 戦闘に特化した怪人ゾリラを造り出したアグダーは、更なる強化のため、腕から刃が飛び出す能力を持つ極悪人・源太を狙う。連行途中で奪回された源太を泳がせてアグダーの居所を知ろうとする錠之助と、源太を助けようとする獅子丸が対立する中、逃亡した源太は三吉を人質にしてしまうのだが……

 いきなり思い切り現代的な手術台が出てきてゲンナリさせられるのはともかく、アグダーが手ずから造り出した怪人ゾリラの登場から始まる今回。久々に登場したにもかかわらず、初めはえらくそっけないマントルゴッドも、地虫忍者五人に楽勝(いや、あまり大したことではないのでは……)のその力に感心するほどの強さであります。
 そしてさらなるパワーアップを図らんとするアグダーが目をつけたのは、死刑場に連行途中の極悪人・源太。唐丸籠で後ろ手に縛られた源太は、通りかかった錠之助に脱獄の手助けを頼むほど肝の太い奴であります。もちろんそれを鼻で笑って往く錠之助ですが、その直後に地虫とゾリラが一行を襲撃、源太はまず自分の手を自由にしてもらうと、その手首から(?)飛び出す刃!

 アグダーの狙うその能力で地虫を斬り倒して逃げ出そうとしたものの、さすがにゾリラには敵わず押さえつけられる源太(ここで「マントルゴッド様に指令を受けた秘密諜報部員だぞ!」と口走るのですが、たぶんハッタリでしょう……なんで源太がマントルゴッドを知っているのかは不明ですが)。そして錠之助は、アグダーが源太を必要としていると知り、その居場所を突き止めるため、連れ去られる源太の跡をつけるのでした。

 と、その途中で獅子丸と出会った錠之助は事情を説明するのですが、獅子丸はこれに反発。悪人といっても見過ごしにはできないという獅子丸と錠之助は素手で取っ組み合いを始めるのですが、一度はダウンした獅子丸が、立ち去ろうとする錠之助を後ろから木の棒で殴り倒すという、ヒーローにあるまじき行動で勝利するのでした。
 そして地虫たちの前に立ちふさがる獅子丸ですが、源太は獅子丸が戦っている隙に逃亡。しかし今度は錠之助がその前に立ちふさがります。刃を振り回す源太に変身して拳銃を突きつけるという、こちらもヒーローにあるまじき行動を見せる錠之助ですが、やっぱり源太に逃亡されることに――

 そしてそこに折悪しく通りかかったのは志乃と三吉、源太は三吉を捕まえると人質にしてそのまま逃げてしまうのでした。そこに追ってきた錠之助は、さすがに志乃に対してすまなそうな顔をしますが、追って現れた獅子丸には「お前が助けた奴がかっさらって逃げた!」と姑息なすり替えを――
 しかし次の瞬間には、いつの間にかアグダーに捕まって手術されている源太。そして獅子丸と錠之助の前に現れたゾリラには、源太の意識が……と、この辺がよくわからない展開です。源太がゾリラになっているということは、源太の脳が移植でもされたのか?

 それはさておき、地虫忍者に捕まって人質状態の三吉を、背中のロケットでひとっ飛びして奪回した獅子丸は、そのまま彼を小脇に抱えてロケット変身! 三吉と志乃を錠之助に任せ、ゾリラと対峙します。すでに源太を泳がしておいても無意味に思われますが、錠之助は源太を殺すなと獅子丸に告げ、獅子丸も殺しはせん! と力強く応えるのですが――
 しかしその直後、獅子丸は崖の上で豪快に爆発を起こし、転がり落ちる無数の岩とともに飛び降りてバッサバッサと斬りつける新必殺技・ライオン千尋落としを披露。さらに刀身から光線まで放ってゾリラを爆破! 言ってることとやっていることが全く違う(いや、手加減できないほどの強敵だったということなのだと思いますが)という何ともすっきりしない展開の末、獅子丸は去っていくのでした。


 獅子丸たちともマントル一族とも異なる立場の極悪人の登場、そしてその男を巡っての獅子丸と錠之助の対立を通じての二人の立場の明確化と、題材だけ見れば非常に面白そうな内容ながら、構成や演出がアバウト過ぎてすっきりしない今回。そもそも源太の腕から刃が出るという能力もよくわからないところで、素直に極悪人の脳が必要だった、という設定で良かったのでは……という気がします。
 ライオン千尋落としなど、ネーミング的にもビジュアル的にも格好良かっただけに、実にもったいない回でありました。


今回のマントル怪人
ゾリラ

 アグダーが手ずから生み出した、全ての能力が戦闘のために作られた怪人。そのままでも無双の怪力を誇るが、極悪人・源太の能力(精神も?)を移植され、腕から岩をも砕く刃を出すようになった。が、ライオン千尋落としで比較的あっさり倒される。


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2017.05.07

渡辺仙州『封魔鬼譚 1 尸解』 僕は誰だ!? 驚愕の中国伝奇ホラー!

 『三国志』『水滸伝』などの中国古典を児童向けにリライトしてきた作者によるオリジナルの中国伝奇ホラーであります。町を騒がす連続猟奇殺人に全く思わぬ形で巻き込まれた少年・李斗を主人公に展開していく物語は、こちらの予想を遥かに超え、ジャンルすら超えるような様相を見せることに――

 北宋は泉州の豪商の子に生まれながら、母が第二婦人であったことから、正妻の子である弟との跡目争いに悩む少年・李斗。
 家にいることにすっかり嫌気が差しながらも、生まれついての天才的な記憶力以外は取り柄のない彼は、せいぜい町中をうろつくくらいしかすることがないのですが……そんなある日、彼は宗教狂いの義母が庭に立てた建物から、異様な気配を感じるのでした。

 折しも町では、猫大の奇怪な獣に襲われて殺されたという男が甦り、今度は自分が人を襲い、血肉を喰らったという奇怪な噂で持ちきり。そんな怪奇の事件を専門に扱う道士たちがいる白鶴観の存在を知った李斗は、調査を依頼しようとするのですが、人手が足りないとすげなく追い返されてしまいます。
 それでも諦め切れぬ彼が、道観の一つで見つけたのは符を貼られた兎。そこで何の気なしにその符を剥がしたことがもとで、彼は恐るべき運命に巻き込まれることになるのです。

(ここから先は、どうしても物語の核心に触れざるを得ませんのでご容赦下さい)


 符を剥がした途端動き出した兎に襲われ、足を食いちぎられて意識を失った李斗。目覚めた時に彼が知ったのは、自分が何者かに襲われて死に、既に埋葬されたという事実……!

 それでは今ここにいる自分は誰なのか? あたかも「尸解」……一旦死んで肉体を捨てた仙人のような自分の状態に混乱する李斗。その前に現れた妖しげな少年・楊月は、それが「封魔」なる生物によるものであると告げます。
 殺した相手の血を取り込んで自分の体を相手と全く同じ形に作り変え、本人の人格と記憶までも完全にコピーした存在と化す生物・封魔。すなわち、今の李斗は「李斗」を殺してコピーした封魔だったのであります。

 果たして封魔は誰が、何のために生み出したのか。白鶴観の道士たちと敵対する楊月とは何者なのか。李斗の家の建物に潜むものとは? そして何よりも、李斗の運命は――


 過去の中国を舞台としたファンタジー、特に道士が奇怪な妖魔に立ち向かう物語は、中国本国はもちろんのこと、日本においても数多く描かれています。しかしその中でも本作がどれだけ奇怪で、どれだけユニークな作品であるかは、これまで縷々述べてきた内容だけでも十分おわかりでしょう。

 死者の復活や、その死者が怪物と化すのはある意味定番の題材ですが、しかし本作ではそれが寄生生物という、SF的な合理性を以て説明されるのだから面白いというか、驚かされるというか――
 それだけでなく、さらにその再生者が死者の人格と記憶を持つことから、一種のクローンテーマ的な物語にまで繋がっていくのに至っては、何と評すべきか……!
(そしてそれが、少年の自我の形成という、極めて児童文学的テーマに繋がっていくのが実にうまい)

 冒頭に述べたように、これまで数々の中国古典をリライトしてきた作者。児童向けという域を超えて、一般向けとしても遜色のないクオリティであったそれらから、作者の実力は理解してきたつもりでした。
 そして作者のオリジナル作品『文学少年と運命の書』からも、ストーリーテラーとしての作者の腕の冴えをはっきりと感じ取っていたのですが……本作で描かれるのは、まさしくそんな作者ならではの、作者でしか描けない中華時代伝奇ホラーとでも呼ぶべき物語。空前絶後の題材で物語を描きつつ、しかしそれを舞台となる時代の枠の中にきっちりと収めてみせた快作であります。


 作者の中国ものに外れなし……これまで密かに思ってきたことを、はっきり申し上げても良いかと思います。
 もちろん、続編も近々にご紹介いたします。


『封魔鬼譚 1 尸解』(渡辺仙州 偕成社) Amazon
封魔鬼譚(1)尸解


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2017.05.06

『変身忍者嵐』 第11話「血どくろ谷のドクモリバチ!!」

 次々と子供を狙う化身忍者ドクモリバチ。襲われた少年・良太を一度は助けたハヤテたちだが、ドクモリバチに操られた良太の父に、良太とツムジが攫われてしまう。子どもたちを血車党の下忍に変えようとする企てを阻むため、ハヤテは髑髏館に急行、子どもたちを助けてドクモリバチを倒すのだった。

 山中湖から関所を通らず江戸に向かう抜け道がある世附峠……という前フリは特に関係なく、子供が欲しいなどと言いつつ、目の付いた繭(?)の中から現れて村の子供・良太に襲いかかる変質者・ドクモリバチ。
 そこに一足先に村にやってきたツムジが遭遇、良太を庇いますが、もちろん敵うはずもなく、早速ハヤテに救援を要請。さらに謎の爆音とともにムササビの術で白k……タツマキも駆け付け、ひとまず良太を助け出すのでした。

 さて、ドクモリバチの狙いは、子供たちを攫ってきて血車党の下忍として使おうというもの。例によっての泥縄ぶりですが、昨今の国際情勢を考えれば結構シャレになっていない……というのはさておき、よせばいいのに嵐に復讐しようと、ドクモリバチは良太の父に目をつけます。
 山での仕事中、白米の握り飯が置いてあるのに疑いもなく飛びつく恥ずかしい大人ぶりを披露した上に、ドクモリバチの銛に仕込まれた毒にやられる親父。この毒を食らうと、命に別状はないものの、ドクモリバチの言いなりに操られるというのですが――

 そんな中、ハヤテたちの予想は当たり、良太の家を襲撃する血車党。首輪みたいな輪から四方八方に打ち出される連続毒矢撃ちを披露するドクモリバチを蹴散らしたハヤテですが、そこで操られた親父が割って入り、良太とツムジが捕らえられてしまいます(わざわざ子供をリレーするのに水平投げなる忍法を使うドクモリバチ)。
 カスミの毒消しで回復したものの、猛烈に落ち込む良太の父。そんな中、子供が殺されたという知らせが入り、その弔いの行列を追ってハヤテとタツマキが寺に向かうと、棺桶からは人の気配が……思い切りよく刀を突き立ててみれば、中に入っていたのは血車党の下忍であります。

 わざわざハヤテたちを誘き寄せたというドクモリバチを何となく空中戦で撃退したハヤテですが、そんな間もツムジと良太をはじめとする子どもたちに危機が迫ります。ドクロ汁なる怪しげな液体に子どもたちを漬け、下忍に変えてしまうというのですが――
 成り行きをボサッと見てるかと思いきや、他の子供が犠牲になりそうになると、さすがにやるなら俺をやれと名乗りを上げるツムジ。一瞬の隙をついて反撃したかに見えましたが、子供の身の悲しさ、髑髏丸にあっさり捕まって良太ともども首だけを出して埋められ、見せしめとして硫黄責めなる拷問にかけられることに……しかもその周囲には地雷が埋められており、ハヤテたちが助けにくれば大爆発するというではありませんか。

 そこに駆け付けたハヤテとタツマキですが、正面からタツマキが陽動をかけているうちに、ハヤテが大ジャンプでツムジたちのところに到着、むしろ地雷の罠には下忍がかかる始末。そしていつもの滝のところで最後の対決を繰り広げたハヤテは、いつものとおり秘剣影うつしでドクモリバチを粉砕するのでした。


 嵐が都合三度ほど登場と、かなりチャンバラシーンが多かった今回。さすがに東映だけあって剣戟アクションは本当に良いので、これはこれで正しいと思います。
 今回のドクモリバチは、様々な形で毒を操るなかなか芸コマな化身忍者ですが、何か造形的に物足りないと思いきや、背中に羽根がない……まあ、羽根が落ちた蜂もいますが。


今回の化身忍者
ドクモリバチ

 鎖付きの銛を操る化身忍者。首輪から四方八方に毒矢を放つ連続毒矢撃ち、毒煙を吹き出す毒煙攻めなどの忍法を操り、銛の毒で人間を自在に操ることも可能。血車党の下忍に変えるために子供を集めたが、ハヤテたちに察知されて倒された。


『変身忍者嵐』第1巻(東映ビデオ DVDソフト) Amazon
変身忍者 嵐 VOL.1 [DVD]


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2017.05.04

入門者向け時代伝奇小説百選 怪奇・妖怪(その二)

 初心者向け時代伝奇小説百選、怪異・妖怪ものの紹介の後半は、これまで以上にユニークで新鮮な作品が並びます。

31.『素浪人半四郎百鬼夜行』シリーズ(芝村涼也)
32.『妖草師』シリーズ(武内涼)
33.『古道具屋皆塵堂』シリーズ(輪渡颯介)
34.『人魚ノ肉』(木下昌輝)
35.『柳うら屋奇々怪々譚』(篠原景)


31.『素浪人半四郎百鬼夜行』シリーズ(芝村涼也)【江戸】【剣豪】 Amazon
 真っ正面から人間と怪異との対決を描いて同好の士を唸らせた作品が本作であります。
 主人公・榊半四郎はある事件がきっかけで主家を捨て江戸に出た青年。絶望から死を選ぼうとした時、不思議な力を持つ老人・聊異斎と謎の小僧・捨吉と出会った彼は、この世を騒がす様々な怪異に挑むことに――

 故あって浪人となった主人公が周囲の人々に支えられ、市井の事件に挑むという本作のスタイルは、文庫書き下ろし時代小説の王道であります。しかし本作はその骨格に時代ホラーを乗せ、しかも非常に高いクオリティで融合させている作品。
 特にそのオリジンも含め驚くほどバラエティに富んでいる怪異の数々は必見です。

 そして物語は市井の妖怪退治から、どんどんスケールアップ、ラストはある史実を背景に世界の存亡を賭けた戦いが描かれることになります。
 つい先日、大団円を迎えた本作、今一番読んでいただきたい作品の一つです。


32.『妖草師』シリーズ(武内涼)【江戸】 Amazon
 「この時代小説がすごい! 2016」の文庫書き下ろし部門で見事一位を獲得した本作は、この作者ならではのユニークな伝奇活劇です。

 実家を勘当され、京の市井で暮らす庭田重奈雄。彼の真の姿は妖草師――この世に芽吹いた奇怪な能力を持つ常世の草花・妖草を刈る者であります。
 時に人間の強い想いに反応し、時に邪悪な術者に操られてこの世に現れる妖草に対し、重奈雄は同じく妖草を操って戦いを挑むのです。

 デビュー以来、作中に必ずと言ってよいほど豊かな自然の姿を描いてきた作者ですが、本作はそれを一ひねりした異形の植物ホラーとでも言うべき作品。
 登場する様々な妖草の存在と、それに自らも妖草を武器にして挑むと重奈雄の戦いが実にユニークなのですが、彼を助けるのが曾我蕭伯や池大雅ら、当時の一流文化人というのにも注目であります。


33.『古道具屋皆塵堂』シリーズ(輪渡颯介)【江戸】 Amazon
 怪談とミステリを見事に融合させた『浪人左門あやかし指南』シリーズでデビューした作者による本作は、深川のおんぼろ古道具屋を舞台とするユニークな作品です。

 釣り狂いの主人・伊平次が適当に営む皆塵堂は、実は曰く付きの品物ばかり集めている上に、店になる前に住人が惨殺されたというヤバすぎる場所であります。
 そこに修行に出されたのは、生まれつき幽霊が見える体質の太一郎。果たして彼は次から次へと恐ろしい目に遭わされることに……

 エキセントリックな登場人物たちが、様々な幽霊に振り回される姿を描く、恐ろしくもどこかすっとぼけた味わいの本作。それでいてこの第一作以降、皆塵堂で働いた若者は、みな得難い経験をして成長していくというのもユニークです。
 大いに怖くてちょっとイイ話というべき怪作、いや快作です。

(その他おすすめ)
『溝猫長屋 祠之怪』(輪渡颯介) Amazon


34.『人魚ノ肉』(木下昌輝)【幕末-明治】 Amazon
 デビュー作を含む『宇喜多の捨て嫁』でいきなり直木賞候補となった作者の第二作は、真っ正面からの時代伝奇ホラー。食べた者は不死になるという人魚伝説と、坂本竜馬や新撰組を組み合わせた悪夢の世界であります。

 幼い頃、土佐の浜に打上げられた人魚の肉を食べた竜馬が、寺田屋で最期を迎えた時に知った恐るべき不死の正体を皮切りに、短編連作形式で展開する本作。
 そして、その人魚の肉を食べてしまった新撰組の面々を襲うのは、不死どころか、異能・異形の者に変じていくという怪異。 百目鬼、吸血鬼、生ける屍、禁断の儀式、首なし騎士、ドッペルゲンガー……この題材でよくぞここまで! と言いたくなるほどの怪異のオンパレードです。

 しかしそんな地獄絵図の中でも、さらりと人間の強さ、善性を描いてくるのも素晴らしい。刺激的ながら魅力的な短編集であります。


35.『柳うら屋奇々怪々譚』(篠原景)【江戸】 Google Books
 寡作ではあるものの、いずれも味わい深い時代怪異譚を描く作者のデビュー作は、遊郭・柳うら屋を舞台に、そこに生きる遊女たちの哀歓と希望を描く怪異譚です。

 吉原の妓楼・柳うら屋で嵐の晩に殺害された看板遊女・白椿。その遺体を発見した霧野をはじめとする三人の遊女は、それ以来自分たちに不思議な能力が宿ったことに気づきます。
 そして柳うら屋で相次ぐ相次ぐ奇怪な現象の数々。怪事に巻き込まれた三人は、その背後の様々な人の思いを知ることに……

 一種の異能もの的な展開も面白いのですが、本作の最大の魅力は、遊郭の人間模様も、非現実的な怪異も、等しくこの世に在るものとして認め、受け入れる優しい眼差しにあります。そしてさらに、現実からの救いとしての怪異を提示してみせるのには感心させられるばかり。遊郭怪談の名品というのにとどまらず、怪談というジャンルの存在にまで切り込んだ作品です。



今回紹介した本
鬼溜まりの闇 素浪人半四郎百鬼夜行(一) (講談社文庫)妖草師 (徳間文庫)古道具屋 皆塵堂 (講談社文庫)人魚ノ肉柳うら屋奇々怪々譚 (廣済堂モノノケ文庫)


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 入門者向け時代伝奇小説百選

 「鬼溜まりの闇 素浪人半四郎百鬼夜行」 文庫書き下ろしと怪異譚の幸福な結合
 「妖草師」 常世に生まれ、人の心に育つ妖しの草に挑め
 「古道具屋 皆塵堂」 ちょっと不思議、いやかなり怖い古道具奇譚
 木下昌輝『人魚ノ肉』 人魚が誘う新撰組地獄変
 「柳うら屋奇々怪々譚」 怪異という希望を描く遊郭怪談の名品

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2017.04.30

『風雲ライオン丸』 第14話「父のかたきライオン丸!」

 毒バエによって人々を地虫忍者に変えていくキツネバ。知らずに地虫を斬った獅子丸は、犠牲となった村人の子・一太郎から仇と呼ばれ、躱すことなくその刃を受ける。傷ついた体で戦う獅子丸を見て心を動したものの、キツネバに捕らえられてしまう一太郎。彼を救うため、刀を捨てた獅子丸だが……

 左目から巨大なハエを周囲に放ち、刺された人間を地虫忍者(人間地虫)に変えていくキツネバ。苦しみもがき、地虫に変わった村人たちにタイトルが被る時点で、もう猛烈に嫌な予感しかしません。
 果たして、地虫に襲われ、屋内から派手に屋根を突き破ってライオン丸に変身し、地虫をいつも通りなぎ倒した獅子丸ですが、現れた錠之助が指摘するとおり、目の前でその死体が村人に変わって愕然。しかも犠牲者の一人の子、何故か三吉と瓜二つの一太郎が彼を仇と呼び、刀を向けてくるではありませんか。

 躱しもせずにその刃を受け、殺すならこの場所を刺せと告げる獅子丸に流石にドン引きした一太郎は、本当の仇は別にいるという錠之助の言葉(一太郎を落ち着かせるためだと思いますが、早く言うべきだと思う)に、錠之助から剣を学ぶことになります。
 一方、馬に乗ってその場を離れた獅子丸は、通りかかった志乃と三吉の前で豪快に力尽き、手当を受けます。あっさり錠之助にあらましを聞いた二人に慰められる獅子丸ですが、三吉を見て一太郎を思いだし、罪の意識に苛まれるなどかなり重症であります。

 しかしそれでも現れたキツネバに挑む獅子丸。あっさり地虫を斬り捨てるのでまた同じ悲劇が……ということはありませんでしたが、しかし傷を負った身でキツネバには敵いません。気を利かせたつもりの三吉が、置きざりのロケットを獅子丸に投げるも、キツネバに迎撃されて破壊され、いよいよ窮地に――
 と、その有様を一太郎と共に見ていた錠之助は、一太郎に獅子丸を助けるか問います。獅子丸を助けて欲しいという一太郎の言葉に満を持して変身した錠之助は地虫を一蹴、毒ハエが尽きたキツネバも退却するのでした。

 しかしアグダーからリターンマッチを命じられたキツネバは、無謀にも戦いを挑んできた一太郎を人質に、獅子丸と錠之助を誘き出そうとします。しかし錠之助にはその手の策は通じない一方で、弱みもあって獅子丸にはクリーンヒット。あっさり刀を捨てた獅子丸は、オシシ仮面チックに木に吊され、最期を待つばかりに……
 ここに引き据えられてきた一太郎は、一瞬の隙をついて逃げようとするものの、敢えなく地虫の刃を受けてしまいます。それでも最期の力で縄を切って獅子丸を救った一太郎は、獅子丸に詫びながら力尽きるのでした。

 ……と、眼前であまりの悲劇が繰り広げられた獅子丸は、絶対に許さん! と怒り大爆発。殺陣もへったくれもない無茶苦茶な攻撃でキツネバに襲いかかり、斜面を転がり落ちながらの大乱闘。ついにキツネバを追いつめた獅子丸は、死ね死ねとザックザックと刀を突き刺した上、崖から蹴り落とすという前代未聞のフィニッシュ!
 赤く巨大な夕陽が荒野に沈む中、一人獅子丸は馬を走らせて消えていくのでした。


 視聴者を曇らせることでは定評のある高際和雄の持ち味が大爆発した今回。一般人が怪物に変えられてしまうというのはヒーローものでは定番の展開ですが、普通は怪人が倒され、元の姿に戻ってめでたしめでたしとなるところを、ヒーローがそれを倒してしまうという前代未聞の展開。しかもその子供に仇と狙われるとは!(さらに三吉を見る度に一太郎を思い出すという鬼展開)
 実際には仇呼ばわりされる時間はかなり少ないのですが、獅子丸の眼前で一太郎が殺されてしまうという容赦ない展開も含め、ある意味ヒーローものの極北というべき展開であります。それだけに、ラストの獅子丸の怒り爆発には思い切りシンクロできのですが……

 しかし冷静に考えると、今回かなりタチが悪いのは錠之助。人間が地虫に変えられているのに気付いていたらしいのに獅子丸に教えず、キツネバのことも最初は一太郎に教えず、彼に懇願されるまでは獅子丸を助けようとせず、捕らえられた一太郎を助けようとせず――
 これまでの言動を見るに、獅子丸を見守り、厳しく鍛えようとしているようにも思えるのですが、今回はほとんどヤンデレ感すら漂うタチの悪さでありました。


今回のマントル怪人
キツネバ

 左目のシャッターの中から毒バエを放ち、人々を地虫忍者に変えていく怪人。巨大な刀を得物とする。戦力を増やし、さらに獅子丸を苦しめるという一石二鳥の作戦を展開したが、一太郎を殺されて怒りを爆発させた獅子丸にボコボコにされた末、崖から蹴り落とされた。


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 『風雲ライオン丸』 放映リストと登場人物

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2017.04.29

『風雲ライオン丸』 放映リストと登場人物

 『風雲ライオン丸」の放映リストとキャラクター紹介であります。 放映リストから、各話レビューに飛べます

<放映リスト>

話数放映日サブタイトル監督脚本マントル怪人
0173/04/14飛び出せ弾丸変身!石黒光一まつしまとしあきネズマ
0273/04/21荒野を走る黒豹石黒光一しのだとみおバラチ
0373/04/28火を吹く亀甲車石黒光一まつしまとしあきドカゲ
0473/05/05シトシト爆弾を守れ!手銭弘喜しのだとみおシャゴン
0573/05/12燃える水を奴らに渡すな手銭弘喜まつしまとしあきガー
0673/05/19黒豹よ三吉を助けろ!大塚莞爾山崎晴哉ケカビー
0773/05/26最後の砦大塚莞爾高際和雄マジン
0873/06/02謎の新兵器 ローク車石黒光一山崎晴哉ガズラー、三色仮面
0973/06/09蛇ケ谷にライオン丸を見た大塚莞爾高際和雄ガムジン
1073/06/16うなる大砲 怪人ズク石黒光一山崎晴哉ズク
1173/06/23生きていたタイガージョー!石黒光一しのだとみおザグロ
1273/06/30地獄谷に恨みをはらせ!大塚莞爾山崎晴哉ガン
1373/07/07たてがみかがやくライオン丸石黒光一高際和雄ペルソナ
1473/07/14父のかたきライオン丸!大塚莞爾高際和雄キツネバ
1573/07/21脱獄囚を追跡しろ!大塚莞爾まつしまとしあきゾリラ
1673/07/28忍者の掟に明日はない!!大塚莞爾高際和雄ヤゴ
1773/08/04西から来た男石黒光一まつしまとしあきヤリコウモリ
1873/08/11マントルゴッド悪魔の要塞石黒光一まつしまとしあきズカング
1973/08/18よみがえれ弾丸変身!!大塚莞爾高際和雄オニグモ
2073/08/25敗れたり! ライオン丸石黒光一山崎晴哉ゲジム
2173/09/01危うし! 伊賀の三兄弟石黒光一松本守正ザソリ
2273/09/08南蛮寺の秘密監督まつしまとしあきヒトデロ
2373/09/15ライオン丸アグダーを斬る!!大塚莞爾高際和雄トビゲラ
2473/09/22悲運!! 父との再会!石黒光一高際和雄アブ
2573/09/29マントル地下帝国最後の日!!石黒光一高際和雄マントルテロス


<登場キャラクター>(カッコ内はキャスト) 情報は徐々に追加していきます。

弾獅子丸(潮哲也)
 21歳。兄・影之進をマントル一族に殺され、最期の言葉を胸にマントル一族と戦い続ける。マントル打倒を目的としているため、滅多に厳しい表情を崩さないが、心根は優しく、それゆえに苦しむことも多い。

ライオン丸
 獅子丸が忍法ロケット変身で変身した黄金の剣士。倒した敵を「ライオン風返し」で爆破する。前半は兜をかぶっていたが、途中で兜を脱ぎ、黄金のたてがみを露わにした。

志乃(宮野涼子)
 行方不明の父を探し、弟の三吉とともに幌馬車ビックリ号で旅する少女。ギターのような楽器を奏で、数え歌を歌うのが得意。

三吉(新井つねひろ)
 姉の志乃とともに旅する少年。発明に天才的な才能を示し、好奇心が旺盛。カタツムリが苦手。

黒影兵馬(早崎正樹)
 秘法豹変でブラックジャガーに変身する青年剣士。悪人ではないが金に汚く、生きがいである強いものと戦うため、獅子丸につきまとう。

虎錠之助(福島資剛)
タイガージョージュニアに変身する謎の男。正体は不明だが、悩める獅子丸の前に現れては彼に助言する。錠之進・錠之介等クレジットの名前がしばしば変わる。

マントルゴッド(声:小林清志)
 西日本の地底深くに潜みマントル一族を支配する長。地底に直径1000mにも及ぶ巨大な顔のみを出し、アグターを通じて日本征服を命じる。

アグダー(声:依田英助)
 マントル一族の東部戦線総指揮官。足が不自由なため空飛ぶ六能陣車で移動し、怪人たちに作戦を命じる。


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2017.04.27

『変身忍者嵐』 第10話「死をよぶ! 吸血ムカデ!!」

 血を吸った相手を操る能力で藤沢を我がものにした吸血ムカデ。血を吸われた飛脚と出会ったハヤテたちは、ムカデの企みを調べるためタツマキを江戸に走らせるが、藤枝で罠にはまり、住人たちの襲撃を受けてしまう。捕らえられ絶体絶命のカスミとタツマキを救うため、ハヤテは駆ける。

 旅を続けるハヤテ一行と街道ですれ違った一人の飛脚。お堂の傍らで休憩を取る際、土産の独楽を取り出して、自分を待つ子供に思いを馳せるのですが……
 その独楽が独りでに宙を飛び、お堂の中へ。追いかけて入り込んでみれば、堂の天井の隅にへばりついているというかなりイヤな感じで待ち受けていたのは化身忍者・吸血ムカデであります。名前のとおり血を吸われた飛脚は、青い隈に赤い唇、デカい牙と、今となっては非常に懐かしい吸血鬼メイクに――

 さて、再び自分たちの前を通ったと思えば独楽を落としたので、呼び止めて渡そうとしたカスミに襲いかかる飛脚。もちろんハヤテたちに取り押さえられるのですが、わかりやすく怪しい姿に不審を抱いて調べてみれば、首筋にこれまた怪しい噛み跡があります。
 青く変質しているらしいその血を調べるため、江戸のバンブツ(万物?)先生に聞いてみるというタツマキを見送り、ハヤテたちは飛脚を連れて藤沢で宿を取るのでした。

 と、飛脚の姿を見て、近くの村に住んでいることを教えてくれる宿の主人。しかし主人にも、ツムジとカスミを残してハヤテが向かった先の飛脚の家族も、皆首筋には噛み跡が……。既に藤沢を押さえていた血車党、今回は手強い!
 何とか飛脚の妻と子供の攻撃をかわして宿に戻った嵐ですが、その頃カスミとツムジは吸血ムカデ、そして操られた町の住人に取り囲まれて大ピンチ。大八車まで出してくる下忍相手に豪快な立ち回りを見せる嵐ですが、吸血ムカデが吐いた炎に巻かれる間に見失い、駆けつけた彼が見たものは、倒れ伏した町の住人たちとツムジの姿。カスミは吸血ムカデに襲われ、さらわれてしまったのであります。そして江戸でバンブツ先生に分析してもらった結果、特効薬を持って帰ってきたタツマキも、骸骨丸の待ち伏せを受け、今回も捕らわれの身に――

 タツマキとカスミの目の前で、特効薬の竹筒を海に投げ捨てようとする吸血ムカデ。素直にその場で中身を流してしまえばいいのに……と思っていたら、最後の力でカスミが笛を吹いたことで、嵐が見参、投げられた竹筒をがっちりキャッチ! ツムジによって二人も助け出され、逆光も美しい浜辺の対決で、吸血ムカデも粉砕されるのでした。
 そして特効薬の力か、元に戻った飛脚一家に見送られて、新たな旅に出るハヤテたちでありました。


 悪事を企んでいる or 実験しているところで偶然ハヤテたちに見つかるという毎度毎度のパターンながら、今回は既に一つの宿場町を押さえ、その力で江戸に攻め上ろうとしていた血車党。もうちょっと操った町人をうまく使えば、その物量と、ヘタに攻撃できないことで、ハヤテは相当苦しんだかと思いますが……伝染性はなさそうだし、一人一人吸血ムカデが噛んでいたとしたら仕方ないところでしょうか。
 その吸血ムカデ、微妙に声が強そうではないのですが、思ったよりもスマートな姿も格好良く、この辺りの化身忍者としては良い造形でありました。


今回の化身忍者
吸血ムカデ

 その名のとおり相手の血を吸い、操る力を持つムカデの化身忍者。口から炎も吹く。藤沢の町で仲間を増やして江戸に攻め上ろうとしていたが、一騎打ちでは嵐に勝てなかった。


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