2017.09.17

『風雲ライオン丸』を見終えて(後編)

 『風雲ライオン丸』の全編を通じての印象の後半であります。決して悪い作品ではない、むしろ評価できる点も多い本作。しかし……

 それでは本作が手放しで絶賛できる作品かといえば、しかし否という必要があるのでしょう。
 残念ながらあまり評価できないのは、むしろ物語構成や人物配置における迷走ぶり(というのは言葉が強すぎるかもしれませんが)というべきもの――ライバルキャラとして登場したはずの黒影豹馬のあっさりした退場、そして代わって登場した虎錠之助のキャラの弱さに代表される部分であります。

 特に虎錠之助/タイガージョーJrは、言うまでもなく前作の人気キャラクターである虎錠之介/タイガージョーの再来を狙ったキャラですが、作中では出自不明(はいいとして)で目的不明、今ひとつ立場がはっきりしないというキャラクター。
 終盤は出番が少なく、最終決戦にも参加しない――いやそれ以前に、初期は錠之介なのか錠之進なのか錠之助なのか、名前が固まらなかったというのは、ある意味このキャラの立ち位置を雄弁に物語っていると感じます。

 そのほかにも、外したり被ったり(さらに言えば、外した次の回にはまた被っていたり)のライオン丸の兜や、突然再登場して前作との関係性をさらにややこしくした快傑ライオン丸、何よりもヒロインの父であり旅する理由であった勘介の作中での扱いなど……
 色々と画面の外での混乱や試行錯誤が窺われる部分が、結果として本作の完成度を削ぐ結果となっているのは、やはり残念と言わざるを得ません。


 結局のところ本作は、言われているほど悪くない、いや瞬間最大風速的には前作を上回る点もありつつも、残念な点も少なくなかった、という評価になるのかもしれません。
 しかしここには本作ならではの、本作でしか見れないものが――傑作であった前作にもないものがあった――それは間違いないと感じます。

 その最たるものは、舞台となる戦国という時代の一つの有り様が、物語から痛いほど伝わってくる点であります。

 前作の敵・大魔王ゴースンに比べれば、その正体等で謎の点も非常に多いだったマントルゴッド。
 もちろんビジュアルインパクトではゴースンに勝るとも劣らない(というより特撮史上に残る)存在だったなのですが、それはさておき、僕はこのマントルゴッドの、マントル地下帝国の正体不明ぶりこそ、この本作の魅力の一つが現れていると感じます。

 ただひたすらに強大で恐ろしく、非情な存在――それを前にした人々は恐れ惑い死んでいくか、あるいは膝を屈してその一部になるしかない存在。
 それはもちろんヒーローに対する悪というものの定番の描写でありますが、本作においてはその正体不明の悪意に満ちた力こそが、舞台となる戦国時代の――個人の力ではどうにもできぬ巨大な時代の流れの象徴、一つの顕れとして感じられるのです。

 そしてまた、獅子丸が戦ってきた相手は、マントル一族だけではありませんでした。彼の前に立ち塞がったのは、同じ人間の無理解や悪意、利己心など――戦国という時代の隙間から吹き出してきた人間の業とも言うべきものもまた、彼を強く悩ませてきたのです。
 マントル一族がなければ、人々が犠牲になることはなかったのか――その数は減ることはあれど、しかしその答えが否であることを、本作の物語は雄弁に語ります。

 今なお語り草である本作の結末――勝ったと叫びながらも笑顔一つなく消えていく獅子丸の姿には、自分が倒したものはこの時代と世界を象徴する「悪」の一つに過ぎなかったことに気付いてしまった(気付かざるを得なかった)者の苦悩を感じる……
 というのは牽強付会に過ぎるかもしれませんが、そこには時代という壁にぶつかったヒーローの姿が確かにあることは間違いありません。

 その意味で本作は、前作でも至らなかった境地に達してしまった、希有の特撮ヒーロー時代劇であったと言えるのではないでしょうか。


 ついつい熱が入りすぎて妙なところまで入り込んでしまった感もありますが、これがそれが僕の大げさな物言いであるかどうか、ぜひとも機会を見つけてご確認いただきたいと、心から願う次第です。


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2017.09.16

『風雲ライオン丸』を見終えて(前編)

 これまで全25話の紹介をさせていただいた『風雲ライオン丸』。その全編を通じての印象のまとめであります。

 特撮ヒーロー時代劇屈指の名作であることは誰もが認めるであろう『快傑ライオン丸』の後番組である本作。しかしライオン丸の名を冠し、主人公「獅子丸」を演じるのは前作と同じく潮哲也――でありつつも、前作の続編というわけではないという少々ややこしい立場の作品です。
 そのためか、本作は前作とは大きく異なる趣向を導入することになります。そう、「西部劇」のテイストを。

 ポンチョ風のコスチュームをまとった主人公、舞台の多くは延々と続く荒野、ライフルや幌馬車といった小道具等々……
 しかしそれが裏目に出て、視聴者や出演者にも違和感を感じさせた、という逸話は、それはそれで納得できるのですが、しかし今回見直してみて、個人的には言われているほど違和感があると感じなかったのは、一つの発見でした。

 そもそも時代劇と西部劇の組み合わせに親和性が高いのは、『用心棒』が『荒野の用心棒』に翻案されたり、その用心棒を思わせるキャラを主人公とした(本作の前後に放映された)三船プロの素浪人ものがあるのを上げるまでもないお話。
 それよりも時折登場する現代的な「超科学」の方がよほど違和感が――というのはさておき、本作の狙い自体は悪くはなかったと感じます。
(そもそも前作終盤にガンマン怪人たちが登場しているわけで……)

 あの時代に馬車や爆弾がゴロゴロしていたかと言えばまあアレなのですが、しかしひたすら砂と埃と岩が続く世界観は、人々の剥き出しのエゴが描かれ、人の命があっさりと奪われていく物語に、実によく似合う。
 さらにまた、第7話「最後の砦」のように、西部劇要素を時代劇に巧みに落とし込んでみせたエピソードもあることを考えれば、これは一種のアクセントとして認めるべきではないか――というのはやはり過大評価かもしれませんが。

 ちなみにある意味「超科学」であり、本作を語る際にネタ的に扱われる弾丸変身ですが、確かにロケットで天高く舞い上がり、戻ってくると変身しているというのは、悪い意味でインパクトが大きいのは否めません。
 しかし作中では精密機器ゆえロケットが故障して危機に陥るエピソードや、ロケットを利用して窮地を脱出する(洞窟からの水平脱出、変身しながらの空中の敵への一撃等)等、バンクシーンだけで終わらせない工夫が印象に残ります。

 特に印象に残るのは、数々の強烈な演出が飛び出した第19話「よみがえれ弾丸変身!!」でのシーンでしょう。苦悩の末に谷底に身を投げたかに見えた獅子丸が、落下途中で変身、大反転して宙高く舞うことでその精神の復活をも高らかに宣言してみせるくだりは、変身シークエンスと物語の盛り上がりを完璧に融合させたものとして、ヒーロー史上に残る変身シーン――あ、これも過大評価ですか。

 いずれにせよネタ的に(ネガティブな点から)取り上げられることも少なくない本作の趣向は、決してそれだけで終わるものではなく、一つ一つの場面、そして何よりも物語と有機的に結びつくことで大きな効果を上げている(ことも少なくない)ことは声を大にして申し上げてもよいでしょう。

 そしてそれが本作のハードな物語展開と噛み合った時、最大限の効果を発揮するものであり――そこに生まれたものは、前作から繋がる豊かなドラマ性を、さらに押し進めてみせたものと言えるでしょう。
 もちろんそれを曇り方面に押し進めすぎたきらいは否めませんが……


 それでは本作が手放しで絶賛できる作品かといえば――以下、次回に続きます。


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2017.09.14

『風雲ライオン丸』 第25話「マントル地下帝国最後の日!!」

 ライオン丸に最強の怪人マントルテロスを差し向けるマントルゴッド。三吉と志乃を人質に取られつつも、錠之助の助けでマントルテロスを打ち倒した獅子丸は、ただ一人マントルゴッドを倒すことを決意する。死んでいった者たちの面影を胸に、地下帝国に乗り込む獅子丸を待つものは……

 ついに最終回、既にアグダーや勘介を失い、獅子丸に本拠地を知られて後がないマントルゴッドは、自分の分身だという怪人マントルテロス(分身のわりにはマントルゴッドに敬語を使っているのはデボノバのような立場だから?)を放つのでした。

 その頃、ただ一人本拠地に向かう獅子丸ですが――しかし彼を追いかけてきたのは故郷に帰ったはずの志乃の馬車。父の仇を討つと一人戻ってしまったという三吉を追って、二人は先を急ぎます。と、案の定襲われていた三吉は、手に持っていた手製の爆薬(なにげに剣呑この上ない)で地虫を蹴散らしながら逃げますが、追い詰められたところに現れたのは、本当に久々のタイガージョーJr! どこに行っていたんだお前。
 一方、獅子丸は現れたマントルテロスの攻撃に苦戦中のところ、志乃を地虫たちに攫われてしまうのですが――駆けつけた錠之助が救出。形勢不利とマントルテロスはさっさと逃げ出すのでした。

 そして改めて地下帝国に乗り込もうという獅子丸ですが、なんとここで同行しようという錠之助を拒絶。確かに上から目線でかき回しながら、ここのところ大事なエピソードは欠席していたから――ではたぶんなく、自分一人の力でマントルゴッドを倒したいという獅子丸の強い決意に、錠之助も志乃も三吉も、ただ彼を見送るしかないのでした。
 そして行く手に再び立ち塞がったマントルテロスと激闘を繰り広げた獅子丸は、怪人の吐くガスで左腕の自由を奪われながらもテロスを倒すのでした。(一回しか斬ってないのに五体バラバラになったテロス――と思いきや、獅子丸が行った後に再生!)

 兄・影之進、豹馬、虹之助、そして――ええと、第12話の地獄党の雷之介!? を脳裏に思い浮かべながら地下帝国に足を踏み入れる獅子丸。が、早速扉が締り、閉じ込められた獅子丸に地虫、地雷、ガスetc.が襲いかかります。そしてそれをなんとかくぐり抜けたと思いきや足元が崩れ、下のフロアに落ちた獅子丸は、檻に閉じ込められることに……
 その前に三度現れるのは再生したマントルテロス。闘志に燃える獅子丸は、何と地底の、檻の中で強引にロケット変身! マントルテロスと激突します。延々と続く死闘の果てに、マントルテロスが何かを守っていることを気づいた獅子丸は、その物体(冒頭にマントルゴッドが言っていた命の泉?)に一撃!

 それこそはマントルゴッドの急所、地面の巨大な目から口から火花を、炎を吹き出すという、そのビジュアルにふさわしいインパクト満点の断末魔を見せるマントルゴッドは、お前も道連れだ的なことを言い残すのですが、地底帝国が崩れ落ちる中、獅子丸は「俺は勝ったんだーッ!」と絶叫するのでした。
 そして戦い終わり、無事に脱出したらしい獅子丸を見送る志乃と三吉、錠之助。しかし獅子丸は、念願を果たしたヒーローのそれとは思えぬ表情――虚しさとも疲れとも諦めともつかぬものを浮かべ、夕陽の中に消えていくのでした(おわり)。


 というわけで、それ以前に死んだわけでもないライバルキャラが最終決戦に参加しないという、前代未聞の、しかしなんとなく本作らしい最終回である今回。突然出てきた上にそれほど強くない最強怪人マントルテロス、その巨大さのわりには一発で倒されたマントルゴッドなど、突っ込みどころはあれど、しかし情念が込められまくった獅子丸の姿を見ていればそんな気持ちは吹き飛びます。

 そしてラストシーン――自らの命を犠牲としつつも、正義のヒーローとしての運命を全うした快傑ライオン丸に比べれば――いや他のどんなヒーローと比べても(タイガーセブンは除く?)その異様さは際立つものがあります。
 しかしそれもまた、弾獅子丸が己の道を全うした果てのことであり、本作の結末としてふさわしいものであるとも感じられます。少なくとも、見た者の心に強く強く残る結末であることは間違いないでしょう。
(本作全体を通しては、別途まとめ記事を書く予定です)


今回のマントル怪人
マントルテロス

 マントルゴッドの分身であり、地下帝国を守る最後の切り札。先が二又に分かれた槍を獲物とする。槍に巻いた赤い綱で首を締めたり、投げた槍を自在に操るほか、口から相手の動きを封じる白いガスを、左手首からは火花を放つ。マントルゴッドが生きている限り不死身の再生能力を持つが、マントルゴッドの急所を刺されて共に滅んだ。


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2017.09.04

『風雲ライオン丸』 第24話「悲運!! 父との再会!」

 マントルの本拠である播磨に向かう獅子丸一行。地虫に捕らえられた虹之助が残した目印を追って敵の本拠地に近づく一行だが、その前に現れた黒衣の男は虹之助を人間大砲の砲弾にして彼らを狙う。大砲から打ち出される直前、黒衣の男の正体を見破る虹之助。それこそは志乃と三吉の父だった……

 春夏秋冬のアイテムを揃え、ついに手に入ったマントルの秘密――絵図面に記されたマントル一族の本拠地に向かう獅子丸。一方マントルゴッドはアグダーに次ぐ指揮官として謎の黒衣の男を指名し、地虫に人々を襲わせます。一行と離れ、一人地虫たちと戦う獅子丸ですが、その間に志乃たちの馬車を襲う怪人アブ。密かに用意していた虹之助は、ライオン丸の扮装でアブに立ち向かうも捕らえられ、基地に連行されてしまうのでした。
 しかしその間に虹之助が目印として落としていったマキビを追って本拠地に迫る獅子丸。一方、黒衣の男と対面した虹之助は、彼が人間であることを見破りますが、男によって人間大砲の砲弾にされてしまうのでした。

 本拠地に近づき、アブと戦う獅子丸の間近で爆発する砲弾(この後しばらくアブが登場しないのでこれで死んだものかと……)。大砲の威力を誇示しながら現れた黒衣の男は、次は虹之助を撃ち出すと告げます。珍妙な三角帽っぽいものを被せられた虹之助は、死を目前としながらも男の正体が志乃と三吉の父・勘介だと見破ります。
 虹之助に、自分が狙っている中に志乃と三吉がいると告げられ、激しく動揺する勘介ですがそのまま大砲を発射。虹之助は最後の力で砲弾の軌道を変え、地虫たちの中に突っ込み、壮絶な爆死を遂げるのでした(嗚呼……)

 この惨劇の文字通り引き金を引いたのが探し求めてきた父であると知り、愕然とする志乃と三吉。一度は覚悟を決めて大砲を撃った勘介も、二人の非難に衝撃を隠せないのですが――しかしもちろん二人が許すはずもありません。志乃は会いたくなかったと正面から詰り、三吉はあんな奴は父さんじゃないと走り去ってしまうのでした(そして三吉を見守る獅子丸)。

 さすがに娘の面罵が応えたのか、本拠地の地図を志乃に託して去ったという勘介。それを聞いた獅子丸は、勘介が死ぬ気であることを悟ります。果たして(早速)磔にされ、処刑執行される勘介。そこに駆けつけた獅子丸は怒りに燃えて(洞窟の中だけれども画面の外で)変身、アブを一蹴します。
 そのままマントルゴッドを求めて奥に進みますが、落石や花火いや火花、そして吹き出すマグマに阻まれ、やむなくライオンジェット反転(以前どん底に落ちた回で谷底に飛び降りながら変身した時のやつ?)で基地から脱出するのでした。

 父の死を受け止め、故郷に帰るという志乃と三吉に別れを告げ、いよいよ獅子丸はマントルゴッドと最後の対決に望む決意を……


 後半に入ってから獅子丸たちの頼もしい味方として活躍してきた七色虹之助がここに来て爆死という展開に絶句させられるラスト一話前。言われるほどギャグキャラではなかったようにも思える虹之助ですが、重くなりがちだった物語をほんのちょっと明るくしてくれた彼をここまで容赦なく惨殺するというのは、本作らしいというかなんというか……

 そして本作全編を貫く謎的に扱われてきた志乃と三吉の父の行方もついに判明。それが敵の幹部、それも虹之助をほぼ直接殺害した上に、自分たちも殺そうとしたという容赦のなさであります。
 しかし、父の登場にいきなり感が否めないのは事実。その点をそれを補うための虹之助惨殺だとは思いますが、それだけやっておいて、いきなり改心→処刑という慌ただしさも、またある意味で本作らしいと感じます。

 それにしても、彼がなぜマントルという悪魔に魂を売ったのかが一切語られないというのは、これはこれで色々と想像させてくれて嫌いではありません。十年前に志乃の前から姿を消したようですが、物心ついた時からマントル帝国で育てられた志津がいたということは、おそらくはその前からマントルと接触があったということなのでしょう。
(あるいはこれまで登場した超兵器の数々は彼の手になるものだったのか……)

 そして一般の(?)マントル怪人としてはラストのアブ。もうひねるつもりもないネーミングですが、造形はかなり良い……とうより不気味で迫力があります。


今回のマントル怪人
アブ

 勘介の命で人間たちを襲うアブの怪人。細身の直刀と棘付きの鞘を武器とし、空を飛んで口から吐き出す七色の紙テープで相手の動きを封じる。ライオン丸と一度目の対決で弱点の角を斬られ、勘介を処刑した後の二度目の対決であっさり倒される。


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2017.08.29

『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』 人間と魔法使いの間に

 1926年、ニューヨークを訪れた魔法生物学者のニュートは、人間の男・ジェイコブと鞄を取り違え、中の魔法生物を街中に逃がしてしまう。折しも街中では建物などが何者かに破壊される謎の現象が続発。その犯人として追われる身となったニュートは潔白を示し、魔法生物たちを捕まえることができるのか……

 今なお人気の衰えることのない『ハリー・ポッター』シリーズのスピンオフとして、本編開始の数十年前を舞台として描かれる物語であります。
 主人公は、シリーズにも登場する魔法生物学書の著者であるイギリスの魔法使いニュート・スキャマンダー。ちょっと頼りない彼が、本作においては異国であるアメリカはニューヨーク――すなわち人間界を舞台に奔走することとなります。

 現代ほど人間界と魔法界が融和しておらず、その危うい均衡も、悪名高き闇の魔法使いグリンデルバルドの数々の悪事で崩される寸前だった時代。
 ある目的のためにアメリカを訪れたニュートは、ちょっとしたトラブルからスーツケースの中の空間で保護していた魔法生物たちをニューヨーク中にばらまくことになってしまいます。

 魔法生物たちを再び保護するために奔走する彼を助けるのは、パン屋を開くことが夢の人間の男・ジェイコブ。さらに初めは彼らを誤解して追いかけていた元・闇祓いの女性ティナとその妹・クイニーらの助けにより、次々と魔法生物を取り戻すニュートですが……

 しかしニューヨークでは、目に見えぬ奇怪な力により、街中の建物や道路が破壊されていく現象が頻発。さらにその現象によって上院議員が殺され、この事態を重く見た合衆国魔法議会から、ニュートたちは一連の事件の犯人として追われることとなります。

 かくて、ニュートたちの魔法生物探しと、街を騒がす謎の存在――無関係に見えた二つの事件は、意外な形で交わることに……


 この世界に重なるようにして存在する魔法界の住人、魔法族(魔法使い)たちが繰り広げる物語を描いてきたシリーズ本編。しかし本作には、過去の時代を描く以上に、本編とは大きく異なる要素があります。
 それは現実世界が、人間界が舞台となること――ジェイコブのように魔法の存在も知らない人間がほとんどで、魔法使いたちも人間たちの間で姿を潜めている世界が、本作の舞台であるということです。

 これは全く個人的な感想ですが、シリーズ本編(の映画で)不満だったのは、舞台のほとんどが魔法界であり、そして魔法界と人間界の関係性がほとんど描かれないように感じられる点でした。
 もちろんこれはない物ねだり、本編ではさして重要ではない要素だったわけですが、しかし伝奇者としては、異なる二つの世界がクロスオーバーする姿が、そこから生まれる物語が観たい、と強く感じていたのです。

 そしてその願いは、半分が本作で叶うことになりました。ニュートが魔法生物(これがまた、可愛いものから危険な奴、不思議な奴と様々で実に楽しい)をニューヨークにばらまいたことで、彼らが街中で暴れ回るというシチュエーションが堪能できたのですから。
 さらにクライマックスには、怪物による街の大破壊もありと、至れり尽くせり(?)の展開であります。

 この辺りは本当に楽しい作品だったのですが――しかし、魔法使いと人間、二つの世界の住人の関係性は、期待したほどには描かれなかったと感じます。

 もちろんこれは、作中でも描かれているように、未だ(少なくともアメリカでは)魔法使いと人間が没交渉であったという設定によりますが、しかし折角人間界が舞台なのだから、その関係性が変化していく様を観たかった――というのも正直なところです。
 確かにそれはニュートとジェイコブの友情、ジェイコブとクイニーの愛情を通じて、パーソナルな部分では描かれているのですが――しかしジェイコブが終盤ほとんど活躍がなかった(これは本作最大の問題では)こともあって、それ以上の発展はなかったのが残念なところではあります。

 もちろん、本作の終盤で真の黒幕が語るように、ポジティブであれネガティブであれ、この関係性こそが、この先あと4本予定されているという本シリーズの鍵となるのではないかと思えるのですが……


 何はともあれ、大ヒットシリーズのスピンオフにして新シリーズ開幕編という重責はきっちりこなしてみせた本作。
 この先、面倒くさい伝奇ファンも喜ばせてくれるような展開になることを期待したいと思います。


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2017.08.26

『風雲ライオン丸』 第23話「ライオン丸アグダーを斬る!!」

 冬の太刀を奪うため、各地で刀狩りを行うトビゲラ。一方、太刀の打ち直しを刀鍛冶・小吉に依頼した獅子丸は、代わりの太刀を与えられるが、小吉は地虫たちの襲撃を受けてしまう。瀕死の小吉を看取った志乃たちは、獅子丸が小吉から借りた太刀こそが冬の太刀であることを知るが……

 気がつけば本作も今回を入れてわずか3回。ここ数回を引っ張ってきた春夏秋冬のアイテム探しも、ここにラストのアイテムが(あっさり)登場することになります。その正体は太刀――その太刀を奪還せんと、アグダーはトビゲラに命じ、各地で刀狩りを実行させるのでした。……何という泥縄感。
 そうとは知らず、各地で蛮行を働く地虫たちと戦ううちに刃毀れしてきた太刀を打ち直してもらうために、刀鍛冶のもとを訪れた獅子丸。その彼の人品骨柄を見ていた刀鍛冶・小吉は、何やら意味ありげに代太刀(?)として一本の太刀を獅子丸に預けるのでした。

 そして自ら獅子丸のたちの打ち直しに当たる小吉ですが、そこに襲いかかる地虫たち。太刀は奪われて弟子たちは殺され、自らも深手を負いつつも、小吉は唯一隠しおおせた獅子丸の太刀を必死に打ち直すのでした。
 そして志乃と三吉が鍛冶場の近くを偶然通りかかった時、太刀を手によろよろと歩み出る小吉。と、何という因縁か、小吉は二人の父・勘介の相弟子――小吉は二人に獅子丸の太刀を託し、獅子丸に冬の太刀を預けたこと、そして「冬は春と触れ合うとき、稲妻を呼ぶ」という言葉を残して息を引き取ります。

 そうとは知らない獅子丸ですが、襲ってきたトビゲラがご丁寧に説明。そして冬の太刀を奪うべく襲いかかってくるのですが――トビゲラは後が詰まっているせいか、驚くくらいあっさりと敗北。そして追いかけてきた志乃たちと合流する獅子丸ですが――アイテムは4つ揃ったものの何も起きず、そして秘密の正体もわからずと手詰まりになった獅子丸は、とりあえずアイテムを取り返しに敵が来るのを待つことにしたのでした。
 が、ここで父に会いたい気持ち余って、冬の太刀を持ち去ってしまう三吉。といってもただ海岸をブラブラするだけなのですが……(そしてそれを陰から見守る獅子丸

 と、そこにもう後がなくなったアグダーの六能陣車が飛来。獅子丸が変身しようとした瞬間、磁力か何かで二本の太刀を奪ってしまいます。変身できずに(太刀がないと変身できないのかしら……)苦しむ獅子丸ですが、しかしそこに駆けつけた志乃が投じた春の短刀を、思わずアグダーが冬の太刀で弾いた時、そこに激しく稲妻が……
 その隙に太刀無し(何故か「変身 ライオン丸」のかけ声で)変身を敢行した獅子丸は、そのままロケットで六能陣車に突撃して二本の太刀を奪還。アグダーも空中から連発銃、バリア、砲撃と様々な攻撃で獅子丸を苦しめるのですが、獅子丸は再度突撃して陣車を破壊、車椅子でなおも宙に浮かぶアグダーの首を叩っ斬り、風返しで爆破するのでした。

 そしてついに秘密――「マントル帝国怪人生産地の図を手に入れた獅子丸。限られた場所でしか生きられない(らしい)マントル怪人の生産拠点、そしてマントルゴッドが潜む(らしい)地を知った獅子丸は、決着をつけることを誓うのでした。


 幹部アグダーとの決着、そしてアイテムが揃い秘密が判明と大きく話が動くものの、演出的にはどこか淡々としていて、何となくイベントを進めただけという印象の今回。錠之助も虹之助も登場しないのも寂しいところです(錠之助、登場した頃はアグダーを狙え狙えと言っていたのに……)
 そして今回退場となった車椅子に乗る幹部という悪之宮博士に先立つキャラだったアグダーは、六能陣車の万能っぷりは面白かったものの、しかしその「動けなさ」が祟って、あっさり倒された印象なのが残念なところではあります。

 一方、今回ついに判明した秘密(結構アバウトな日本地図)は怪人の生産拠点という、微妙に現実的なもので、マントル一族が破滅するほどの秘密かどうかはともかく、ここを潰されたら後がないのはまあ確かでしょう。しかしマントルゴッドの居場所は、先日獅子丸も突入した、志津のいた地下要塞ではなかったのかしら……
 それにしてもわかりにくかったのはこの地図の出どころ。どうやら春の短刀と冬の太刀がぶつかった時、そこから地図の一部がそれぞれ飛び出したようですが――だとしたら夏と秋の立場は(春と冬がぶつかればこちらも地図を吐き出すようになっていたのかしら)。


今回のマントル怪人
トビゲラ

 冬の太刀奪還のための刀狩りを指揮する怪人。四枚刃の槍を武器にする。獅子丸に戦いを挑むが、空を飛んで襲撃してみせたほかは特に芸も無くあっさりと敗北。トビケラモチーフの怪人はほとんど唯一――のはず。


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2017.08.20

『風雲ライオン丸』 第22話「南蛮寺の秘密」

 旅の途中に訪れた教会で神父と浪人、少年と出会う獅子丸。翌朝、実は強盗殺人犯だった少年を追って役人が現れ、浪人はライオン丸の名を騙って少年を突き出す。が、教会をヒトデロと地虫たちが襲撃、獅子丸によって一度は撃退されるが、既に教会は包囲されていた。その中で人々は次々と本性を現し……

 志乃たちとは別行動を取ったのか、一人旅の途中に教会の戸を叩く獅子丸。それに応えて中から現れた神父(を演じるの)は――大月ウルフ! この時点でもう厭な予感が濃厚に漂います(案の定、秋の十字架のことを尋ねようとした獅子丸に、露骨に怪しい素振りを見せる)。ここで浪人と少年と共に一夜の宿を借りることになった獅子丸ですが――翌朝、教会に役人たちが訪れます。
 この近くで人を殺し、金を奪って逃げた少年を探しているという役人に対し、あからさまに不審な態度を取る少年。その少年を捕らえて役人に突き出した浪人は、役人から名を問われ、自慢げにライオン丸と名乗るのでした(ここでエッと思っても口に出さない獅子丸の奥ゆかしさ)。

 浪人たちを口汚く罵りながら連行されていく少年ですが――次の瞬間役人たちの悲鳴が響き、よろめきながら教会に戻ってきた役人たちの顔には不気味なヒトデが! 続いて押し入ってきたのは、アグダーからの命で教会を襲撃した怪人ヒトデロ。猛然と獅子丸はこれを迎え撃って教会の外に追い払い、陰でライオン丸に変身してヒトデロと対決します。
 吸血ヒトデを両目に食らって苦しむ獅子丸に襲いかかりながらも、一発食らっただけで逃げ出すヒトデロ。隠れていただけの浪人はそれを自分の手柄のように誇るのでした。

 ひとまず危機を脱した教会ですが、敵はまた戻ってくると、逃げることを促す獅子丸の言葉を神父は拒み、浪人に護衛を頼みます。一方、獅子丸は少年の縛めを解き、その身の上を訪ねますが、返ってくるのは、自分の家族が飢えで苦しんでいる時に見殺しにした大人たちの怨嗟の言葉のみでした。
 と、そこに飛び込んできた矢に背中を刺される神父。やはり始まった地虫たちの総攻撃に対し、逃げるように促す獅子丸ですが、神父は礼拝堂から離れるのを拒み、浪人は少年から金を奪い、ついでにそこに置かれていた獅子丸のロケットを掴んで教会から逃げ出すのですが、あっさりと殺されるのでした。

 少年も浪人の懐からこぼれ落ちた金を取り戻そうとして地虫に襲われ、大人たちに呪いの言葉を残して絶命。地虫たちと外で戦っていた獅子丸は、後から現れた虹之助に教会を任せるとロケットを取り戻して変身、ヒトデロに挑みます。
 しかし今回も弱いヒトデロは、刀を取り落としたライオン丸に素手でも圧倒される始末。一瞬の隙を突いて再び吸血ヒトデでライオン丸の目と口を塞ぎ、ブーツに隠していたナイフで襲いかかるヒトデロですが――ライオン丸の刃に身を抉られ倒れるのでした。

 戦いが終わり、教会に戻った獅子丸を待っていたのは瀕死の神父。神父は、やはり秋の十字架だった黄金の十字架に執着を抱き「誰にも渡さないネ! ノォ! ノォーッ!」と逃げなかったのです。「人間というのは己の欲でしか動けんもんだ。結局あんたは一人でもがいてくんだな。ざまあみろ!」と、獅子丸に呪いの言葉を吐いて息絶える神父……
 「話を聞くと、ここには人間のクズばかりが集まっていたみたいでごわすな」とさすがに呆れ顔の虹之助を前に、「金、欲――そんなもののためにしか人間は生きることができんのか!!」と、獅子丸は苦い顔で絶叫することしかできないのでした。


 閉鎖空間に閉じ込められ、追い詰められた人間たちが醜い本性を剥き出しにして――という物語は枚挙に暇がありませんが、それを特撮ヒーローものでやってしまうのが本作。ゲストキャラ全員がどうしようもない人間の業――という言葉も生ぬるい、剥き出しの欲を出して死んでいくのには、鬱とか曇りというより、むしろ暗黒という言葉が似合います。
 その中でももちろん最強の暗黒キャラが大月ウルフ演じる神父だったのですが――見た目は怪しくも、言動は唯一マトモだった彼が、ラストに突然呪いの言葉を無駄に獅子丸に叩きつけて死んでいくラストにはただ絶句で、獅子丸の心にはまた深刻なダメージが……

 そしてそんなエピソードに対して、モミアゲ周辺のみ残った禿頭にカエル口、道化師みたいな衣装というどうしようもないデザインのヒトデロがむしろ癒やしに――アグダーに特に命じられた割りに異常に弱かったし。


今回のマントル怪人
ヒトデロ

 アグダーから教会に隠された金奪還を命じられたヒトデの怪人。幅広の剣と、手裏剣のように投げつけて相手の目や口を塞ぐ吸血ヒトデが武器。ライオン丸の目をヒトデで塞ぎ、隠し持っていたナイフを手に躍りかかるが、逆にライオン丸の刀に貫かれる。


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2017.08.13

『風雲ライオン丸』 第21話「危うし! 伊賀の三兄弟」

 秋の十字架を持つという一郎左率いる伊賀忍者殲滅を狙う怪人ザソリは、一郎左の弟・次郎太を惨殺し、一郎左を襲う。割って入った獅子丸により助かった一郎左だが、今度は彼の屋敷に忍び込んだ錠之助が一郎左の妹・百合香をさらっていく。ザソリの一味となって秋の十字架を要求する錠之助の真意は……

 前回その存在が語られた春・夏・秋・冬のアイテム。その三番目、秋の十字架を持つという伊賀忍者の頭領・一郎左率いる伊賀忍者が、今回のマントルのターゲット。しかし伊賀忍者もさるもの、地虫忍者を一蹴するのですが――アグダーから命を受けたザソリが、三兄弟の二番目・次郎太を襲います。
 いかにも腕自慢らしい次郎太ですが、あれっ、橋の下にぶら下がったと思ったら、次のシーンでは地面に半身埋もれてる!? と思いきや、ザソリの刃に真っ二つにされ、下半身は橋の下に残り、上半身は地面の上に落ちたのでした。残酷!

 と、そうとは知らない太郎左は、末妹の百合香とともに弟を探しに来ますが、そこで惨殺体を目撃。さらにザソリたちが襲いかかり窮地に陥るのですが――折よく通りかかった獅子丸が変身して登場、ザソリはあっさりと逃げ出すのでした。しかし一郎左はライオン丸のことを見ておらず、自分の力で窮地を脱したと勘違いしたままであります。
 そして二人に同行して屋敷に足を運んだ獅子丸たち(なお、虹之助は今回お休み。甲賀者的には伊賀に近づきたくなかった?)は、ザソリが秋の十字架を探していたことを知りますが、一郎左は全く心あたりがないと……。しかしこの一郎左、獅子丸の腕前を見抜けず、上から目線で接する困った人物ですが、どこか憎めない印象の男であります。

 その頃、荒野を行くのは久々に現れた錠之助。しかしいきなり乱射してきたザソリの秘密兵器・ガトリング砲を辛くもかわすと、何を思ったのかザソリの仲間に入るため、伊賀屋敷から百合香をさらっていくのでした。それでも半信半疑のザソリに、「俺は嘘と坊主の髪は言(結)ったことがない……おかしくなかったか?」などとほざきながら、地虫相手に相手を皮一枚残して切る「タイガー一枚斬り」を披露(もちろん地虫は死ぬ)し、ザソリを信用させるのでした。
 しかしこのガトリング砲、第13話で伊賀の小太郎が発明し、命がけで葬り去った連発銃では――伊賀だけに嫌がらせなのか!?

 それはさておき、磔にした百合香と引き換えに秋の十字架を要求するザソリ。しかし一朗太は普段は頼りないながらも、妹への情に流されず、マントルには従えないとこれを拒絶。百合香も騒がずこれを受け入れるのですが――そこで錠之助が刃を一閃! 斬れども斬れず、血も出ないなどとうそぶいて彼女を磔柱から降ろして連れて行くのでした(それ、単に斬ってないだけでは――と思いきや、次の瞬間倒れる磔柱)
 仇討ちだとマントル一味に襲いかかる伊賀忍者。マントル側も、大凧に乗った地虫が空から攻撃をかけるなど、総攻撃であります。獅子丸も錠之助への怒りに燃えてロケット変身、そのまま大凧の地虫を空中で斬るなど奮戦しますが――そこにザソリのガトリング砲が狙いをつけます。

 危うしライオン丸、と思いきや、次の瞬間ガドリング砲が大爆発! もちろん、味方のふりをした錠之助の工作であります。そしてタイガージョーJrに変身した錠之助は、またもや一枚斬りでザソリの首を一閃! 駆け付けた獅子丸にもドヤ顔ですが――背を向けた後ろでザソリの首がもとに戻り、逆に一刀のもとに斬られる錠之助。仇討ちとばかりにザソリと対決した獅子丸はザソリを一蹴、ライオン風返しで爆破するのでした。

 そして深手を負いながらも立ち上がり、減らず口を叩きながら去っていく錠之助。その後から、やっぱり斬られていなかった百合香が現れます。秋の十字架は、彼女が旅の途中でとある刀鍛冶にお守りとして与えられ、そして京の教会のパードレに預けたと語る百合香。その彼女と、ようやく獅子丸がライオン丸と知った太郎左に見送られ、獅子丸たちは京を目指すのでした。

 重い話続きのところに、アクション多めの娯楽編の今回。比較的ゆるい雰囲気でホッとしますが、これは太郎左のすっとぼけたキャラによるところが大きいでしょう。大物なのか鈍いのかよくわからないのが愉快でした。
 それにしても久々に登場したと思ったら何を考えているのかいまいちわからず、最後は結構間の抜けた扱いだった錠之助。いや、この人の場合、わからないのは前からですが……


今回のマントル怪人
ザソリ

 秋の十字架を持つ伊賀忍者・太郎左一派を狙う怪人。人の胴体を両断するほどの二刀流を操る。タイガージョーJrに首を斬られても再生、返り討ちにしたが、ライオン丸には全く及ばなかった。サソリモチーフらしいがそれらしい能力はなく、造形もらしくない。


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2017.08.04

『風雲ライオン丸』 第20話「敗れたり! ライオン丸」

 志津から託された短刀と父からもらった櫛に謎の文字があったことから、べっこう職人の弥助を訪ねる一行。しかし弥助と甲賀忍者・ふくろう隊はゲジムに襲撃され、弥助は「秋の十字架」と言い残して息絶える。一方、ゲジムに敗れて深手を負い、塞ぎ込んでしまう獅子丸。そんな獅子丸に対して虹之助は……

 冒頭で甲賀忍者・ふくろう隊を襲撃するゲジム。そのギザギザの刃は忍者たちの首を切り落とし、女頭領も、打ち合ったゲジムの刃から火花が散り目をくらます「火花崩し」によって退却を余儀なくされます。その後から通りかかった獅子丸一行は、虹之助のかつての仲間たちであるふくろう隊の無残な姿に驚くのでした。
 そこで彼らがマントルの秘密を何か知っているのではないかと考えた一行は、以前志津が今際の際に志乃に託した短刀に「春」の文字が刻まれているのに気付きます。さらにそれを見た志乃は、以前父からもらったべっこうの櫛に「夏」の字が刻まれているのを発見。その櫛を作った職人・弥助のもとに、手掛かりを求めて向かうことになりますが……

 しかしそこでは既にゲジムたちとふくろう隊が死闘の最中。獅子丸と虹之助が加勢する間に、深手を負った弥助に問いかける志乃ですが、「秋の十字架」と口走ったところで弥助はとどめをさされてしまいます。そしてライオン丸に変身してゲジムと対峙する獅子丸ですが火花崩しの前に敗退、深手を負って辛くもその場から逃れるのでした。ゲジムの「ライオン丸敗れたり!」の声を背に……

 ……と、そこから再び始まる獅子丸の落ち込み。敗北から十日間も、口も利かずじっと何か考え込んでいるというのですから、前回の立ち直りは一体――と言いたくもなります(が、完全に目が死んでいた前回に比べ、今回は口を尖らせてムッとしているように見えるという違いが)。そこは温かく見守ろうとする志乃と三吉ですが、仲間が死んでいることもあってか、虹之助は珍しく獅子丸を見損なったと辛辣な態度を見せます。そして用事を思い出したとどこかに消えるのですが……
 ややあって、獅子丸たちの前に現れる飴売り屋――と思いきやいきなり獅子丸に襲いかかったその姿は、物影に隠れたとみるや次の瞬間には怪しの浮浪者に。そしてさらに修験者姿となり、獅子丸を追い詰めたその正体は――もちろん虹之助であります。

 悩むだけだったら誰だってできる。しかしそれだけじゃゲジムたちは倒せないと冷たく言い放つ虹之助に対し、獅子丸は己の胸中を語ります。ゲジムに敗れて落ち込んでいたのではなく、マントル一族にいかに挑むかを考え込んでいたのだと……。いかにも生真面目な獅子丸らしい悩み方ですが、虹之助の荒っぽい励ましに立ち直った獅子丸は、志乃と三吉を虹之助に託すと、自分は当たって砕けろと単身西の国に向かいます(極端)。

 と、一人馬を走らせていた獅子丸の前に現れて襲いかかるふくろう隊の頭領。自分が虹之助と行動していたことを語った獅子丸に、頭領はマントルの秘密が隠された品物に春・夏・秋・冬の文字が刻まれていることを語ります。とすれば志乃たちが危ない……!
 ライオン丸に変身して戻った獅子丸は、やはり志乃たちを襲っていたゲジムと対峙。トリッキーな技に苦しめられつつも、ゲジムを粉砕。アイテムが四つ揃えばマントルを倒せる(いつの間にかそんなことに……)と、獅子丸は決意を新たにするのでした。


 壮絶な落ち込みっぷりを見せた前回に対し、今回は安心して見られるかと思えばこのサブタイトル。シリーズ構成的にいかがなものかと思いますが、マントル帝国の根幹に関わるらしい4つのアイテムが登場し(しかしいきなり2つ揃うのがまた本作らしい)、なかなか盛り上がります。
 そして今回の虹之助はなかなかの儲け役。甲賀者でありつつも一人で放浪しているのはちょっと謎ではありますが――何故か女性のふくろう隊頭領も印象に残ります。

 あ、そういえばいつの間にかライオン丸が兜を……


今回のマントル怪人
ゲジム

 春夏秋冬の4つのアイテムに関わるふくろう隊と弥助抹殺の命を受けた(言われないと気付かないすっとぼけた造形の)毛虫の怪人。鋸状の刃の剣と毒手裏剣を打ち出す棒を武器とし、剣で打ち合った時に火花で目潰しをかける忍法火花崩しの遣い手。また体中の毛は鋭い針で、体を回転させて襲いかかる。一度は火花崩しで獅子丸を倒したが、再戦では毒手裏剣を変わり身の術で躱され、一刀の下に倒された。


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2017.07.31

『風雲ライオン丸』 第19話「よみがえれ弾丸変身!!」

 マントルゴッドを前に何もできなかった自分が許せず、一人放浪を続けた末に倒れた獅子丸。志乃たちに助けられた獅子丸だが、刺客の怪人オニグモに対し何もできず、志乃に連れられて逃げるしかできなかった。自分自身から逃げないで下さいという志乃の言葉にも無反応に見えた獅子丸だが……

 強敵との対峙に打ちのめされて一人放浪する獅子丸から始まる今回。アバンタイトルで砂丘を放浪する獅子丸の姿と交互に、彼の心中が文字で映し出される演出に圧倒されます。以下のような内容の――
「俺は、マントルゴッドを前に何もできなかった」「そんな自分が許せない だから歩きつづけた すべてを忘れる為に」「しかし、マントルゴッドの幻影から逃げることはできなかった」「何処へ行けばいいのだ」
「疲れ果てた今の俺にはそれすらもわからない」「このまま俺は死んでもいいと思った」
 もうどんな顔をして見ればいいのか……

 そんな獅子丸を拾い上げる志乃と三吉の馬車。その間獅子丸は、志乃と海辺でキャッキャウフフしている夢を見ていたと思ったら、次の瞬間にはマントルゴッドの姿に魘されたりと重症であります。ようやく目を覚ましても、志乃や三吉の言葉にも無反応で、死んだ目は絵的にもかなりマズい状態です。
 そんな彼の前に現れたアグダーは、マントルゴッドの秘密を守るためと獅子丸抹殺を宣言し、怪人オニグモを差し向けます。が、そんな状況でも獅子丸は無反応、やむなく志乃は地虫を蹴散らして獅子丸の手を引いて逃げ出します。

 しかし地虫たちに崖に追い詰められた志乃と獅子丸。間一髪駆け付けた七之助によって地虫は倒されたものの、気がつけば三吉がいない。姉と男が手に手を取って逃げた間にオニグモに捕らえられるというかわいそうな三吉……。取って返した志乃と七之助に救出され、オニグモがマントルゴッドに呼び戻されたことで窮地を逃れた一行ですが、それでも獅子丸は抜け殻状態であります。
(ちなみにマントルゴッドがオニグモを呼び戻した理由は、ちゃんと獅子丸を追い詰めているか、という督戦のためで……ここで余計なことをしなければ倒せたかもしれないのに)

 二人きりで獅子丸を励ます志乃。戦って下さいとは言いません、自分自身から逃げないで下さいという志乃の言葉にも無反応の獅子丸に業を煮やす三吉と虹之助ですが――そんな志乃を残し、獅子丸は一人さすらい続けます。そして崖の上で下を見下ろせば、そこにはマントルゴッドの幻覚が。そして獅子丸は、真っ逆さまに崖から飛び降りて……
 しかしそれは死を選んだのではなく、自らを奮い立たせるため。落下途中でロケット変身した獅子丸は、そのまま急上昇して崖の上に戻ると、愛馬を呼び出し一路駆けます(このくだりにかぶる主題歌の、イントロのテンション上がりっぷりが素晴らしい!)

 復活した獅子丸を見送る志乃と三吉の歓声を背に受けて、再び現れたオニグモと対峙する獅子丸。しかし完全復活した彼に敵はなく、オニグモをあっさり粉砕するのでした。
 戦い終わり、志乃に礼を告げて去る獅子丸。一日だけでいい、一緒に平和な時間を過ごしたいという志乃の切ない願いにも背を向けて――

 「弾獅子丸、21才強大な敵、マントル一族を相手に自らの青春をかけて戦う 勇気ある男。人は彼をライオン丸と呼ぶ」
 いつものエンディングナレーションが、心に染みる結末であります。


 特撮ヒーロー史上でも屈指の主人公の落ち込みぶりが描かれることで語り草の今回。とにかく物語の大半で獅子丸が完膚なきまでに死んだ目をしているのが、普段精悍な表情の彼だけに重く刺さります。
 それと同時に、志乃の乙女心が描かれるのも切なく(そして朴念仁に見えた獅子丸の心中にも――というのがまた泣かせる)、ヒーローの敗北と復活劇として出色の回と言えるでしょう。

 ……前回、獅子丸はマントルゴッドを前に何もできず敗北などしていなければ、そもそも出会ってすらいないことを除けば(前回ラストでは、むしろマントルゴッドに闘志を燃やしていたわけで)。
 いやはや、前後のエピソードの繋がりが微妙なことも多い本作ですが、(その内容のインパクトの前にその矛盾を一瞬忘れさせられた点も含めて)ある意味本作らしい豪快な展開、と言えなくもないかなあ……


今回のマントル怪人
オニグモ

 獅子丸抹殺を命じられた怪人。仕込み槍と、手から投げる網が武器。闘志を完全に失った獅子丸を追い詰めるが、復活した彼には全く敵わず、一蹴された。「ライオン丸の敵」以上のキャラ付けは薄い怪人だが、巨大なオニグモ型の頭部の造形は見事。


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